プロフィール吉沢 創太

株式会社遺伝子治療研究所

AAV遺伝子治療の現状と製造開発について

講演概要

欧米では、遺伝子治療の開発が勢いを増している。2017年のFDAにおけるIND申請において、再生医療を含めた細胞治療を凌駕している。中でもAAVを利用したin vivo遺伝子治療は、中枢神経系の難病や単一遺伝子病への応用範囲が広く、注目を浴びている。2017年にFDAから製造販売承認を取得した「Luxturna」(先天性網膜疾患用遺伝子治療薬)を皮切りに、今後ますます開発競争が激化することが予想される。
一方、日本での遺伝子治療開発は大きく出遅れていると言わざるを得ない。その要因の一つが、ベクターの製造技術開発が遅れており、受託製造業者(CMO)が不足しているためであると、関係者により指摘されている。現在当社では当初の計画から180度転換し、ベクターの自社製造に取り組んでいる。2017年にGCTP基準の製造施設を立ち上げ、遺伝子治療用ベクター製造施設としては国内初となる「再生医療等製品製造業」の認可を、本年3月に取得した。ただ、多品目にわたって開発を進めるうえでは製造施設が1ラインでは不十分であるため、現在、第二製造施設の建築に着手した。
また、複数の製造方法でのAAV製造プロセス開発にも着手しており、臨機応変に製法・スケールを変えることで様々なプログラムに対応が可能になる予定である。

プロフィール

株式会社遺伝子治療研究所 執行役員、製造開発部部長
Agilis GTRI Japan株式会社 工場長(兼任)
国内ワクチンメーカーの製造部門にて従事したのち、2016年に株式会社遺伝子治療研究所に入社。製造工程の開発を行うとともに、製造工場の設計から立ち上げにも従事。現在は製造・開発業務ほか、当局申請用資料の作成も担当。