ウェスタンブロッティングプロトコル(イムノブロッティングプロトコル)
ウェスタンブロッティングとは、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルからPVDFまたはニトロセルロースメンブレンにタンパク質を電気泳動的に転写した後、抗体を使用して蛍光または化学発光検出によりタンパク質を免疫検出法で検出することです。
ウェスタンブロッティングワークフロー
- サンプル調製:細胞溶解およびタンパク質の抽出
- SDS-PAGEゲル電気泳動
- メンブレン転写
a) タンク式転写
b) セミドライ式転写 - 免疫検出法
a) 従来の免疫検出法
b) SNAP id® Systemを用いた30分免疫検出法プロトコル - トラブルシューティングガイド
メンブレン転写(タンク式転写)プロトコル
材料
- ブロッティングペーパー
- 転写メンブレン( Immobilon® PVDFメンブレンなど)
- 転写バッファー
- メタノール、エタノールまたはイソプロパノール
- タンク式転写システム(SB10 omniPAGE mini electroblotting systemなど)
- 電源
セットアップ
- 十分な量の転写バッファーを調製して、転写タンクを満たし、さらに200 mLのバッファーでゲルおよびメンブレンを平衡化し、ろ紙を湿らせます。
- カセットからゲルを取り出し、濃縮ゲル部分とウェルを切り落とします。
- ゲルを転写バッファーに10~30分間浸漬します。
- ろ紙を30秒間以上転写バッファーに浸漬します。
- メンブレンを調製準備します。
a. PVDFメンブレンを使用する場合、メンブレンはメタノールに15秒間浸します。メンブレンは均一に不透明から半透明へと変化するはずです。
b. Milli-Q® 水にメンブレンを慎重に入れ、2分間浸漬します。
c. 転写バッファーにメンブレンを慎重に入れ、5分以上放置して平衡化させます。
転写スタックの組み立て
- カセットホルダーを開きます。
重要: 均一な転写を確実にするため、層状に重ねた各レイヤーの表面に対して、 Blot Roller を使用して、あるいはピペットまたは撹拌棒を注意深く転がしてレイヤー間の気泡を取り除いてください。メンブレンおよびゲルの損傷を防ぐため、圧力を過度に加えないでください。
- カセットの片側にフォーム(ファイバー)パッドを置きます。
- パッドの上にろ紙を1枚重ねます。
- ろ紙の上にゲルを重ねます。
- ゲルの上にメンブレンを重ねます。
- その上に2枚目のろ紙を重ねます。
- ろ紙の上に2枚目のフォームパッドを重ねます。
- カセットホルダーを閉じます。
タンパク質の転写方法(タンク式転写)
- カセットホルダーのゲル側が陰極(-)、メンブレン側が陽極(+)に面するように、カセットホルダーを転写タンクに設置します。
- カセットホルダーが浸るように、十分な量のバッファーをタンクに入れます。
- 転写ユニット上で、黒色の陰極リード(-)を陰極ジャックに差し込み、赤色の陽極リード(+)を陽極ジャックに差し込みます。
- 陽極リードと陰極リードを対応する電源に接続します。
- 利用可能な場合、メーカーの指示に従って、タンク式転写ユニットの上に冷却ユニットを設置してください。
- 電極間距離6~8 V/cmで装置を1~2時間作動させます。最適化の詳細については、タンクメーカーのガイドラインに従ってください。
- 転写が完了したら、カセットホルダーをタンクから取り出します。
- ピンセットを使用して、転写スタックを慎重にはがします。
ウェスタンブロッティング転写を成功させるためのヒント
- いずれのタイプの転写システム(タンク式およびセミドライ式)でも、ろ紙、ゲル、メンブレンのいずれの層にも気泡が入らないように細心の注意を払う必要があります。
- 一定の電流でタンパク質を転写してください。一定の電圧で転写する場合、電流が0.4 ampを超えないようにモニターしてください。100 Vから開始して、電流が大きくなりすぎる場合には、電圧を下げてください。
- ゲルが厚い場合またはタンパク質が大きい場合には、転写時間を長く、または電界強度を強くする必要がある場合があります。実際の転写条件は、システムごとに最適化する必要があります。
- Immobilon® 転写メンブレンは、両面とも同じように機能します。どちらの面の外観(光沢面またはくすんだ面)でも、メンブレンの転写および検出効率に影響はありません。
- 低分子ペプチドを含むサンプルについては、転写バッファー中のゲル平衡化は10分未満にする必要があります。
- ターゲットタンパク質が20 kDa以下の場合、保持を最大にするために Immobilon® PSQ を使用してください。
- 蛍光検出法には Immobilon®-FL トランスファーメンブレンを使用してください。
- ゲルを個別に転写することも、複数のゲルをまとめて転写することもできます。
セミドライ式メンブレン転写のプロトコル
材料
- ブロッティングペーパー
- 転写メンブレン( Immobilon® PVDFメンブレンなど)
- 陽極バッファーI:0.3 M Tris、pH 10.4、10% (v/v) メタノール。
- 陽極バッファーII:25 mM Tris、pH 10.4、10% (v/v)メタノール。
- 陰極バッファー:25 mM Tris、40 mM 6-アミノ-n-カプロン酸(グリシンで代用可能)、10% (v/v) メタノール、pH 9.4.
- セミドライ式ブロッター (製品番号 B2529など)
- 電源
セットアップ
- 各陽極バッファー200 mLおよび陰極バッファー400 mLを準備します。
- カセットからゲルを取り出し、濃縮ゲル部分は切り落とします。
- ゲルを200 mLの陰極バッファーに15分間浸漬します。
- 2枚のろ紙を陽極バッファーIに30秒間以上浸漬します。
- 1枚のろ紙を陽極バッファーIIに30秒間以上浸漬します。
- 3枚のろ紙を陰極バッファーに30秒以間上浸漬します。
- メンブレンを調製準備します:
a. メンブレンをメタノールに15秒間以上浸します。メンブレンは均一に不透明から半透明へと変化するはずです。
b. Milli-Q® 水にメンブレンを慎重に入れ、2分間浸漬します。
c. 陽極バッファーIIにメンブレンを慎重に入れ、5分以上放置して平衡化させます。
転写が1枚の場合:
- 水平な実験台の上に陽極電極プレートを置きます。
- プレートの中央に陽極バッファーIに浸漬したろ紙2枚を置きます。
- 最初の2枚のシート上に陽極バッファーIIに浸漬したろ紙を重ねます。
- ろ紙の上にメンブレンを重ねます。
- メンブレンの上にゲルを重ねます。
- ゲルの上に陰極バッファーに浸漬した3枚のろ紙を重ねます。
- その上に陰極電極プレートを重ねます。
複数枚転写の場合:
- 水平な実験台の上に陽極電極プレートを置きます。
- プレートの中央に陽極バッファーIに浸漬したろ紙2枚を置きます。
- 最初の2枚のシート上に陽極バッファーIIに浸漬したろ紙を重ねます。
- ろ紙の上にメンブレンを重ねます。
- メンブレンの上にゲルを重ねます。
最後のゲルの場合は、ステップ10に進みます。 - ゲルの上に陰極バッファーに浸漬したろ紙1枚を重ねます。
- ろ紙の上に透析膜を1枚重ねます。
- 透析膜の上に陽極バッファーIIに浸漬したろ紙1枚を重ねます。
- すべてのゲル(ユニットの最大限度になるまで)がスタックに組み入れられるまでステップ4~8を繰り返します。
- 最後のゲルの上に陰極バッファーに浸漬したろ紙3枚を重ねます。
- その上に陰極プレートを重ねます。
重要:転写スタックの重なりが崩れて、不正確な結果になる恐れがあるため、作動中に陰極プレートカバーにぶつからないようにしてください。
タンパク質の転写方法(セミドライ式)
- 黒色の陰極リード(-)を陰極プレートジャックに差し込みます。
- 赤色の陽極リード(+)を陽極プレートジャックに差し込みます。
- 陽極リードと陰極リードを対応する電源に接続します。
- 電源を入れます。
- 電流を設定し、次の表に示す時間で電流を流します。
*表面積(cm2)は、陽極プレート上のスタックの設置面積の大きさに基づいて計算しています。この数値は、スタックのゲル数とは無関係です。
従来の免疫検出法
材料
- 一次および二次抗体
- オービタルシェーカー*(製品番号Z768499)
- 深さ2~3 mmでブロットよりもわずかに大きなサイズの容器
- 検出用の基質(ペルオキシダーゼまたはホスファターゼ標識抗体とともに使用)
- 化学発光基質
- 発色基質
*従来の免疫検出法に限り、シェーカーと容器が必要。
SNAP id®システムを使用した迅速な真空駆動式の免疫検出については、SNAP id®免疫検出プロトコルを参照してください。
抗体のインキュベーション
- ブロットをブロッキング溶液に入れて、撹拌しながら1時間インキュベートします。
- ブロットを一次抗体溶液(モノクローナル抗-β-アクチン抗体など)に入れて、撹拌しながら1時間インキュベートします。メンブレン表面全体を溶液が自由に移動するようにします。
- ブロットをPBSに入れ、10分間洗浄します。新しいバッファーで2回洗浄します。
- ブロットを二次抗体溶液に入れ、室温または37℃で撹拌しながら1時間インキュベートします。
- ブロットをPBSに入れ、10分間洗浄します。新しいバッファーで2回洗浄します。
- 発色法、化学発光法、または蛍光法による検出に進みます。以下のタンパク質検出のための関連資料もご覧ください。
タンパク質の発色法および化学発光法による検出
BCIP/NBT基質を使用した免疫検出法
化学発光法による検出
メーカーの指示に従ってください。
- メーカーの指示に従って基質を調製します。
- ブロットを容器に入れて、メンブレン全体を完全に覆うように基質を加えます。
1分間インキュベートします。 - 過剰な基質を流します。
- ブロットを清潔なガラスの上に載せ、ラップで覆います。
注記:サイズを合わせたシートプロテクターまたはフリーザーバッグも使用できます。 - そっと気泡を取り除きます。
- 暗室において、ラップで覆ったメンブレンをフィルムカセット内に置きます。
- オートラジオグラフィーフィルムのシートをその上にかぶせて、カセットを閉じます。
- フィルムを露出露光させます。15秒~30分の複数の露出露光を行って、最適な露出露光時間を決定します。1~5分が一般的です。
蛍光法による検出
必要な装置
- Immobilon®-FL転写メンブレン上にブロッティングされ、抗体でプローブしたタンパク質
- Mylar®ラップ
- 蛍光画像装置
以下は、蛍光法による免疫検出の一般的なプロトコルです。最適な結果を得るために、試薬に添付されているメーカーのプロトコルを参照してください。
注記:化学蛍光法による試薬を使用する場合は、試薬メーカーの指示に従ってください。
- ブロットを希釈した蛍光色素標識済みの二次抗体溶液に入れ、そっと撹拌しながら1時間インキュベートします。
- ブロットを洗浄液で3~5回、各5分間洗浄します。
- ブロットを清潔なろ紙の上に置き、乾燥させます。
- ラップを使用する場合は、Mylar®を使用します。Saran wrap®(サランラップ)は光を透過し、蛍光発光を消してしまうため、使用しないでください。
- 適切な蛍光スキャナーを使用してブロットの画像撮影を行います。
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