水抽出/融合溶解後に比濁測定法を用いる建築材料中の硫酸塩の測光定量
はじめに
硫酸塩は、建築材料の耐久性と安定性に大きな影響を及ぼします。過剰量の硫酸塩は、コンクリートなどの一部の建築材料との化学反応をもたらすことがあり、硫酸塩劣化(sulfate attack)と呼ばれる現象を引き起こします。これは、時間と共に構造完全性を損なっていき、亀裂、膨張、そして変質につながります。したがって、建築材料中の硫酸塩がん流量の測定とモニタリングは、構造物の寿命と性能を確保するために不可欠です。このことは、沿岸地域や硫酸塩レベルが高い土壌など、硫酸塩へのばく露が懸念される環境において特に重要です1。
適切なサンプル調製後に建築材料中の硫酸塩を分析するために一般的に用いられる定量方法としては、光度分析、重量分析2、滴定法2、およびイオンクロマトグラフィー3などがあります。測光法では、高い感度、迅速な分析、高い費用対効果、そしてサンプル調製が最小限の簡単なプロセスといった特有の利点が得られます。そのため、建築材料中の硫酸塩含有量の正確で効率的な定量で選ばれる分析方法となっています。
実験
本アプリケーションノートでは、Spectroquant® 硫酸塩セルテスト(1.01812、1.02532、1.14548、1.02537、1.00617、1.14564)を用いて硫酸塩を測光定量する前の、建築材料中の硫酸塩のサンプル調製について説明します。
Spectroquant® 硫酸塩テストを用いることで、硫酸塩含有量を短時間で簡単に測定できます。この方法は、対応するSpectroquant® 光度計に事前プログラムされています。校正は不要です。測定に必要なすべての試薬はテストキットに含まれています。
方法
融合溶解プロセスでは、建築材料中で著しい化学変換を誘導します。強塩基である水酸化ナトリウムと共に加熱することで、材料中の硫酸イオンでは、可溶性の硫酸ナトリウムの形成につながる反応が発生します。高温により、硫酸塩を含む化合物の分解が促進され、溶液への硫酸イオンの放出が容易になります。
サンプル調製後、硫酸イオンがバリウムイオンと反応して、わずかに可溶性の硫酸バリウムが形成されます。その結果発生する濁度を光度計で測定します(比濁法)。
この方法は、EPA 375.4、APHA 4500-SO42- E、およびASTM D516-16と類似しています。
適用可能サンプル
- 建築材料
異物の影響
サンプル溶液中の異物は、以下のように作用します:
- 反応の増幅により測定値を高めます
- 反応を阻害することで測定値を下げます
これらの影響の定量化は、最も重要な外来イオンや異物について、それぞれの添付文書において表形式で記載されています。許容限界は、個々のイオンや物質について決定されているため、累積的に評価することはできません。
不正確な方法で得られた組成であることが多い複合体(マトリックス)を含むサンプルの場合、分析において異物の潜在的影響を推定することは特に難しくなります(マトリックス効果)。以下の手順では、マトリックス効果の有無をユーザーが検査できる方法を説明しています。
試薬・装置・関連製品
テスト/試薬/キット
サンプル調製では、選択した手順(以下を参照)に応じて、以下の一部またはすべてが必要になります:
- 分析用天秤
- 200 mLメスフラスコ
- マッフル炉
- ニッケル製るつぼとニッケルプレート
- 水酸化ナトリウム粒状、分析用EMSURE® (1.06498)
- 水、分析用EMSURE® (1.16754)
- 65%硝酸、分析用EMSURE® Reag. Ph Eur, ISO(1.00456)
- 100 mLメスフラスコ
- ろ紙
- ユニバーサルインジケータ―ストリップ、pH 0 ~ 14 (1.09535)
必要に応じて、pH調整で必要なもの:
測定には,以下のSpectroquant®テストキットのうち1つが必要です。
測定には,以下のSpectroquant®光度計のうち1つが必要です。
- Spectroquant® UV/VIS分光光度計Prove 600 plus (1.73028)
- Spectroquant® UV/VIS分光光度計Prove 300 plus (1.73027)
- Spectroquant®UV/VIS分光光度計Prove 100 plus (1.73026)
- Spectroquant® Colorimeter Move 100 (1.73632)
また、旧型システムも適しています。
- Spectroquant® 分光光度計Prove 600/300/100
- Spectroquant® 光度計NOVA 60A
装置アクセサリー
Spectroquant® 硫酸塩テスト(1.01812)には角型セルが必要です
データ転送用ソフトウェア(オプション)
Spectroquant® Prove Connect to LIMSソフトウェアパッケージを使用すると、既存のLIMSシステムにデータを簡単に転送できます。
- Prove Connect to LIMS (Y.11086)
分析手順
サンプル調製
温水に溶ける硫酸塩および総硫酸塩の示差的な分析は、適切なサンプル調製により行うことができます。
サンプル調製 - 温水抽出:
- 微粉末のサンプルを調製し、105 °C.で乾燥させます。
- 5 gを分析用水と混合し、ホットプレート上で30分間煮沸します。
- 冷却後、懸濁液を200 mLメスフラスコに移し、分析用水を標線まで満たします。
- よく混合し、ペーパーフィルターでろ過して、水溶性硫酸塩の評価用のサンプルとして使用します。
サンプル調製 - 総含有量:
- 100 mgの微粉体原料と10粒の水酸化ナトリウムを混合し、ニッケル製るつぼに入れて、マッフル炉で550℃で30分間加熱します。
- 冷却し、分析用水10 mLを慎重に加えます。
- 必要な場合は、優しく熱して懸濁液とします。
- 硝酸で約pH 5に調整します。
- 分析用水を用いて、懸濁液を100 mLメスフラスコに移し、分析用水を標線まで満たしてよく混合します。
- 分析を行う前にペーパーフィルターでろ過します。
光度分析
この調製済みサンプルは、以下のテストキットを用いて分析できます。
- Spectroquant® 硫酸塩テスト(1.01812)
- Spectroquant® 硫酸塩セルテスト(1.02532)
- Spectroquant® 硫酸塩セルテスト(1.14548)
- Spectroquant® 硫酸塩セルテスト(1.02537)
- Spectroquant® 硫酸塩セルテスト(1.00617)
- Spectroquant® 硫酸塩セルテスト(1.14564)
添付文書またはユーザーマニュアルに記載の手順に従ってください。
測定に関する注記
調製済みサンプルに色が付いている場合、サンプル自体の測定を実施する前にサンプルブランクを測定する必要があります。このステップは、固有の色を補正するために必要です。
ユーザーマニュアルおよび添付文書に記載の手順に従ってください。
計算式
mg/L SO42-の単位で得られる測定結果の値は、以下のように変換する必要があります:
硫酸塩(水溶性)含有量(%) = 分析値(mg/L SO42-) x 0.004
硫酸塩(総)含有量(%) = 分析値(mg/L SO42-) x 0.1
分析品質保証
各回の一連の測定の前には、分析品質保証(AQA)が推奨されます。
光度測定システム(試薬、測定装置、取扱い方法)や作業様式を確認するために、硫酸塩標準液またはSpectroquant® CombiCheckキットを使用できます。標準液に加えて、CombiCheckには、サンプル依存性干渉(マトリックス効果)を測定するための追加溶液も含まれています。
分析証明書は、各バッチで提供されており、テストの製品ページからオンラインでダウンロードできます。また全バッチを対象とする品質証明書も同じく入手可能です。これらの証明書には、ISO 8466-2およびDIN 38402 A51に従って決定された性能特性が記載されています。
しかしながら、性能に影響を及ぼす可能性のある特定の要因(テスト試薬、測定装置、取扱い)がすべて特性データにおいて考慮されるように、ご自身で性能特性を決定することを推奨します。
参考文献
続きを確認するには、ログインするか、新規登録が必要です。
アカウントをお持ちではありませんか?