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PFAS分析とサンプルろ過に関するガイダンス

ポリ/パーフルオロアルキル物質(PFAS)とは?

PFASは、「永遠の化学物質」として知られるポリ/パーフルオロアルキル化合物であり、4,000種類を超える長鎖および短鎖のパーフルオロ化合物から構成されます1。PFASは、その優れた耐油性、耐水性、耐熱性、耐薬品性および耐火性によりさまざまな産業で使用されており、3M社やデュポン社などの企業がTeflon®などのフルオロポリマーの重合反応に使用していることはよく知られています。PFASおよび関連化合物を含む製品は、製品包装、化粧品、テフロン加工調理器具、防汚剤、磨き剤、塗料、コーティング剤、泡消火薬剤などの工業製品や消費者製品に広く含まれています。

PFASには優れた特性があり幅広く使用されていることから、これらの人工化学物質は環境や生物学的物質に持続的に蓄積されており、最近ではヒトの肝障害、がん、免疫系の脆弱化、および高コレステロールとの関連性が示されています1-3

 

PFAS試験法におけるろ過の必要性

これを受けて、米国および欧州の機関は規制措置を講じています。ストックホルム条約では、最も一般的なPFAS化合物であるパーフルオロオクタン酸(PFOA)およびパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)を規制することが提案され、特定の適用除外を伴い、2020年に発効しました。米国環境保護庁(EPA)は2019年に行動計画を発表し、次いで2020年初頭に「安全飲料水法」のもとで水サンプル中のPFAS化合物を試験するよう勧告し、飲料水の勧告濃度を70 ppt(1兆分率)としました。2021年10月に、EPAはPFASの戦略的ロードマップを公表し、2021年から2024年までのPFASに対処するための広範なアプローチの概要を示しました。ごく最近、EPAは4種類のPFAS化合物[PFOA、PFOS、Hexafluoropropylene Oxide (HFPO) dimer acidとそのアンモニウム塩、PFBSとそのカリウム塩]の飲料水助言値を発表しました。欧州連合(EU)の飲料水指令は、すべてのPFASの限度値を0.5 μg/Lとしており、2021年1月に発効しました。さらに、欧州化学品庁(ECHA)は2022年1月に泡消火薬剤のPFASに対する規制提案を提出しており、2023年までに他の複数の提案が予定されています。追加のPFAS物質は、REACH(化学物質の登録、評価、認可および制限)に基づく評価のためのリストに記載されています。急速に拡大する規制当局の提案および措置に対応して、大学および産業界の試験機関は、表2に示すようなさまざまなサンプル中のPFASを試験およびモニタリングするための分析法を開発してきました。これらの規制は、ヒトへのばく露と環境汚染の程度を理解し、将来の改善努力に関する情報を得るために重要です。

サンプル採取および調製材料からのPFAS汚染に関する懸念

最近の研究で、採取ボトル、溶媒、保存バイアル、チューブ、サンプルと接触するその他のプラスチックなどのさまざまな汚染源からサンプルにPFASの汚染が及ぶことが懸念されています。サンプルから粒子状物質を除去するために使用されるメンブレンフィルター、フィルターホルダー、シリンジフィルターハウジングもこれに含まれます。一部のフィルターには微量の汚染が認められる場合があり、これがLC-MS/MSによるPFASの検出とそれにより得られるデータに干渉する可能性があります。高い感度が要求される場合は特にそうです6。消耗品に関する別の懸念事項は、ろ過媒体やSPE吸着剤などへのPFAS化合物の吸着です。フィルターデバイスに関しては、多くの要素が関連しており、最も重要なのはフィルタータイプ、ろ過する溶媒、PFAS分子のタイプです4-5。例えば、一部の例では、メタノールで洗浄することにより、ろ過媒体への汚染と吸着を減少させることができます6-7

 

PFAS試験におけるサンプルろ過

すべての分析法で、サンプル調製法を慎重に考慮する必要があります。しかし、PFASのワークフローでは、別の要因によって下流のPFAS分析が複雑になる可能性があります。サンプルに接触するフィルターやその他の消耗品によるPFAS汚染の可能性、および消耗品へのPFAS化合物の吸着による回収率の低下などがこれに含まれます。そのため、私たちは、PFAS検出ワークフローEPA 537.1およびEPA 1633で使用されるPES、ナイロンおよびナイロン-HPFシリンジフィルターデバイスの試験を行い、メンブレン抽出物に起因する汚染レベルを明らかにしました。また、ポリプロピレンカットディスクメンブレンフィルター(EPA 537.1では0.2 µmおよび0.45 µm親水性および疎水性ポリプロピレン、EPA 1633では0.2 µm親水性ポリプロピレン)の試験も行いました。その結果、いずれのフィルターにも、報告限界(RL)を超える検出可能なレベルのPFAS汚染は認められませんでした。回収率の低下を引き起こす内部標準物質の吸着は、主にナイロンおよび疎水性ポリプロピレンメンブレン材料で認められ、PFASタイプ、鎖長、ろ液(メタノール対水)によって異なっていました。メタノール中でのろ過では、ナイロンで、同一の標準物質について良好な回収率が認められました。このことは、メタノールで洗浄することにより、PFAS化合物のフィルター材料への結合を減少させることができるということを裏付けています。親水性ポリプロピレンは、メタノールおよび水での性能が同様でした。

したがって、PFASワークフローで粒子状物質を多く含むサンプルのろ過が必要な場合は、PES、ナイロンおよびナイロン-HPF Millex®シリンジフィルター、ならびにポリプロピレンカットディスクメンブレンフィルターが適切な選択肢となります。 


おすすめのシリンジフィルター

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おすすめのメンブレンフィルター

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おすすめのメンブレンフィルター用フィルターホルダー

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参考文献

1.
Kwiatkowski CF, Andrews DQ, Birnbaum LS, Bruton TA, DeWitt JC, Knappe DRU, Maffini MV, Miller MF, Pelch KE, Reade A, et al. 2020. Scientific Basis for Managing PFAS as a Chemical Class. Environ. Sci. Technol. Lett.. 7(8):532-543. https://doi.org/10.1021/acs.estlett.0c00255
2.
Winchell LJ, Wells MJ, Ross JJ, Fonoll X, Norton JW, Kuplicki S, Khan M, Bell KY. 2021. Analyses of per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) through the urban water cycle: Toward achieving an integrated analytical workflow across aqueous, solid, and gaseous matrices in water and wastewater treatment. Science of The Total Environment. 774145257. https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2021.145257
3.
Pérez F, Nadal M, Navarro-Ortega A, Fàbrega F, Domingo JL, Barceló D, Farré M. 2013. Accumulation of perfluoroalkyl substances in human tissues. Environment International. 59354-362. https://doi.org/10.1016/j.envint.2013.06.004
4.
Lath S, Knight ER, Navarro DA, Kookana RS, McLaughlin MJ. 2019. Sorption of PFOA onto different laboratory materials: Filter membranes and centrifuge tubes. Chemosphere. 222671-678. https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2019.01.096
5.
Labadie P, Chevreuil M. 2011. Biogeochemical dynamics of perfluorinated alkyl acids and sulfonates in the River Seine (Paris, France) under contrasting hydrological conditions. Environmental Pollution. 159(12):3634-3639. https://doi.org/10.1016/j.envpol.2011.07.028
6.
So MK, Taniyasu S, Lam PKS, Zheng GJ, Giesy JP, Yamashita N. 2006. Alkaline Digestion and Solid Phase Extraction Method for Perfluorinated Compounds in Mussels and Oysters from South China and Japan. Arch Environ Contam Toxicol. 50(2):240-248. https://doi.org/10.1007/s00244-005-7058-x
7.
Yamashita N, Kannan K, Taniyasu S, Horii Y, Petrick G, Gamo T. 2005. A global survey of perfluorinated acids in oceans. Marine Pollution Bulletin. 51(8-12):658-668. https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2005.04.026
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