A1:今回のWebinarでは大腸菌の発現系について解説いたしました。特にトラブルシューティングの内容は、昆虫細胞や哺乳類細胞を用いた発現系にはそのまま応用できない場合がほとんどです。 もし現在、昆虫細胞や哺乳類細胞を用いた実験系で解決すべき課題をお持ちの場合は、弊社テクニカルサポートにてご相談を承ります。
A2:Webinar中にもご案内いたしましたが、K-12由来株は相同組換修復に関連するrecA、endAの変異株です。タンパク質分解の抑制という意味ではB株系列の方が収率の向上が望めますが、ベクター間あるいはベクターと核様体間での遺伝子組換えが懸念される遺伝子の発現にはK-12株の使用が有効です。
A3:一度ウェスタンブロッティングを実施され、本当に発現していないのか、発現量がごくわずかなのかをご確認頂いてから、条件の最適化を検討されると、解決案にたどりつきやすいと思われます。 発現量がわずかな場合は、N-endルールによるタンパク質分解が起きている可能性の検討のために、N末端のコドンがMet-Leu-でないことをご確認いただいた上で、大腸菌株の変更やOvernight Expressシステムによる発現系の最適化が望ましいと思われます。 一方、まったく発現していない場合は、まずはプロモーター周辺ならびに導入遺伝子のシークエンスをご確認いただくことが推奨されます。
A4:発現はうまく行っていると仮定した上で気をつける点は、精製の際にバッファー交換等でタンパク質が析出しないようにすることです。界面活性剤を少量加える等、バッファー条件を検討いただけるとより良い場合がございます。また、析出防止のためには濃縮が必要ない場合は透析によるバッファー交換が推奨されます。
A5:「優先して試すべき」条件は設定しづらく、リフォールディングの最適条件はタンパク質ごとに異なっているというのが実情です。 リフォールディング条件(バッファー組成)等に関連した情報であれば、ご提供可能なものもございますので、弊社テクニカルサポートまでお気軽にお問い合わせください。
A6:Webinar中では、スペーサーはホストに依存するため一概にお伝えしにくい点と、異なる薬剤耐性遺伝子を持つ2種類のベクターのco-transfectionをご案内いたしました。それ以外の解決策としては、特に大腸菌発現系の場合は、MCSを2つもち、それぞれ上流にT7プロモーターがコードされているDuet vectorsの利用をお勧めいたします。
A7:結晶構造が生体内の立体構造とどの程度差があるのかを判別することが困難な場合が多いため、どちらが最適というのは明言できかねますが、可溶性発現を目指す方が比較的操作が楽なようです。封入体からの巻き戻しはバッファー条件検討などが難しいとされております。
A8:ジャーファーメンターの使用は大量培養に有効であり、pETシステムでご使用されているユーザー様もいらっしゃいます。しかしながら、どの程度有効かを示すことは難しく、明言はできかねます。さらにご質問がございましたら、弊社までお気軽にご連絡頂けますと幸いです。