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「大腸菌タンパク質発現の基礎とpETシステム活用のポイント」ウェビナーQ&A


このページは、2016年6月29日に開催させて頂きました弊社マーケティング部の竹田 純によるウェビナー「大腸菌タンパク質発現の基礎とpETシステム活用のポイント」の質疑応答時および開催後のアンケートで頂いた質問とその回答をまとめたものです。


Q1:今回のトラブルシューティングのご説明は昆虫細胞や哺乳類細胞の系にも応用できると考えてよいのでしょうか。

A1:今回のWebinarでは大腸菌の発現系について解説いたしました。特にトラブルシューティングの内容は、昆虫細胞や哺乳類細胞を用いた発現系にはそのまま応用できない場合がほとんどです。 もし現在、昆虫細胞や哺乳類細胞を用いた実験系で解決すべき課題をお持ちの場合は、弊社テクニカルサポートにてご相談を承ります。

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Q2:K-12由来株をタンパク質発現用として使用するメリットはあるのでしょうか?

A2:Webinar中にもご案内いたしましたが、K-12由来株は相同組換修復に関連するrecA、endAの変異株です。タンパク質分解の抑制という意味ではB株系列の方が収率の向上が望めますが、ベクター間あるいはベクターと核様体間での遺伝子組換えが懸念される遺伝子の発現にはK-12株の使用が有効です。

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Q3:発現ベクターを3つ使用していますが、いずれを用いても目的のタンパク質のバンドがSDS-PAGEで確認できません。この場合、他の発現ベクターの利用を考えるべきですか。あるいは、用いる大腸菌を変えることや、タンパク質の発現条件の検討すべきでしょうか。

A3:一度ウェスタンブロッティングを実施され、本当に発現していないのか、発現量がごくわずかなのかをご確認頂いてから、条件の最適化を検討されると、解決案にたどりつきやすいと思われます。 発現量がわずかな場合は、N-endルールによるタンパク質分解が起きている可能性の検討のために、N末端のコドンがMet-Leu-でないことをご確認いただいた上で、大腸菌株の変更やOvernight Expressシステムによる発現系の最適化が望ましいと思われます。 一方、まったく発現していない場合は、まずはプロモーター周辺ならびに導入遺伝子のシークエンスをご確認いただくことが推奨されます。

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Q4:巨大なタンパク質を精製する際に気をつけるべき点を教えてください。

A4:発現はうまく行っていると仮定した上で気をつける点は、精製の際にバッファー交換等でタンパク質が析出しないようにすることです。界面活性剤を少量加える等、バッファー条件を検討いただけるとより良い場合がございます。また、析出防止のためには濃縮が必要ない場合は透析によるバッファー交換が推奨されます。

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Q5:封入体を巻き戻すときにまず試すべき条件はありますか?

A5:「優先して試すべき」条件は設定しづらく、リフォールディングの最適条件はタンパク質ごとに異なっているというのが実情です。 リフォールディング条件(バッファー組成)等に関連した情報であれば、ご提供可能なものもございますので、弊社テクニカルサポートまでお気軽にお問い合わせください。

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Q6:2種類のタンパク質(タンパク質AとB)を同時に発現させることを考えています。一つのプラスミド上に遺伝子(AとB)をサブクローニングさせたいのですが、RBSと各構造遺伝子をタンデムに並べてMSCにサブクローニングさせればよいのでしょうか。その際に、AとBの間はどれくらいスペーサーがあったらよろしいでしょうか。

A6:Webinar中では、スペーサーはホストに依存するため一概にお伝えしにくい点と、異なる薬剤耐性遺伝子を持つ2種類のベクターのco-transfectionをご案内いたしました。それ以外の解決策としては、特に大腸菌発現系の場合は、MCSを2つもち、それぞれ上流にT7プロモーターがコードされているDuet vectorsの利用をお勧めいたします。

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Q7:結晶構造解析にむけて蛋白質発現系の構築を検討しています。この場合、可溶性発現を目指すべきか、封入体からの精製を検討すべきかどちらが最適でしょうか?

A7:結晶構造が生体内の立体構造とどの程度差があるのかを判別することが困難な場合が多いため、どちらが最適というのは明言できかねますが、可溶性発現を目指す方が比較的操作が楽なようです。封入体からの巻き戻しはバッファー条件検討などが難しいとされております。

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Q8:大腸菌発現系+pETシステムを利用した蛋白質の発現において、ジャーファーメンターの利用はどの程度有効でしょうか?

A8:ジャーファーメンターの使用は大量培養に有効であり、pETシステムでご使用されているユーザー様もいらっしゃいます。しかしながら、どの程度有効かを示すことは難しく、明言はできかねます。さらにご質問がございましたら、弊社までお気軽にご連絡頂けますと幸いです。

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