Millipore Sigma Vibrant Logo
 

東京女子医科大学附属遺伝子医療センター  様

難病治療研究でサバイバルモーターニューロンの可視化&定量化にイメージングフローサイトメーターを使用
導入機器
イメージングフローサイトメーター ImageStreamX Mark II
お客様
東京女子医科大学附属 遺伝子医療センター

現在治療法が確立されていない希少難病の研究に取り組んでいる遺伝子医療センター。10万人に1人か2人という頻度で発症する「脊髄性筋萎縮症」に注目し、疾患の原因・メカニズムの解明、治療方法の確立を目指している。そのプロセス解明のツールとして、弊社のイメージングフローサイトメーターを使用されている。今回、センター長の齋藤加代子教授に、導入の背景や実際の使用状況について話を伺った(本文中敬称略)。

- 先生のご研究について簡単に教えてください。
齋藤: 私たちは診療現場、臨床の窓口に於ける遺伝子検査をベースとし、患者さんの診断、病因・病態、 そして治療、それぞれのプロセスに関わるところの原因解明とその治療法の確立を目指して日々診療に携わりつつ研究に取り組んでいます。
難病に挑戦することで最終的には治療、完治によって患者さんに安らぎを取り戻すことが使命であり、ゴールだと考えています。また、疾患を患っている子供さんやそのご家族に希望を持ってもらいたいという想いが強くあります。さらに難病が治療できるようになれば、これらの手法が頻度の高い病気に対しても応用できる可能性もあり、希少疾患を解明することが多くの方々に有益な治療を享受いただけるようになると考えています。

導入の経緯・理由

治験を始めようとしている時期に、学会でFlowsightを見たのが最初でした。
血液を使った細胞集団の画像解析と定量化解析ができるのがいいと思って。
遺伝子医療センター所長、齋藤加代子教授(上)と使用されているメルクのイメージングフローサイトメーターFlowSight(下)
遺伝子医療センター所長、齋藤加代子教授(上)と使用されているメルクのイメージングフローサイトメーターFlowSight(下)

- 先生がイメージングフローサイトメーターを導入されたきっかけを教えてください。
齋藤: 私たちの研究している脊髄性筋萎縮症は、サバイバルモーターニューロン(SMN)タンパク質の減少や欠損が影響するのですが、それをバイオマーカーとして測定できないか、ということを考えていました。それが血液でもできるといいね、という感じだったんですね。ちょうどその頃に、どこかの学会でFlowSightを見かけたのがきっかけです。画像解析で核の中にGem小体のスポットが見えるし、定量もできそうだ、ということで、ちょうど治験開始の直前だったので、そのために使おう、ということで。

- 学会でご覧になったのがFlowSightということで、最初はFlowSightでデモをさせていただいたんですね。
齋藤: そうですね。デモをしていただいて満足のいく結果が出たので、これはいいとなったのですが、実際に治験で使ったところうまくいかなかったんです。細胞サイズが大きいものを測るのは問題なかったのですが、赤ちゃんの血液や細胞だと小さくて、Flowsightでは倍率が20倍で足りなかった。

- そこで、解像力が更に高いMark IIで再度検証の機会をいただいた。
齋藤: FlowSightでここまで取れるという結果が分かっていたから、Mark IIがスペックでOKだろうというのは予想できていましたので、購入を決定しました。過去に細胞集団の可視化と定量化の二面から見られる装置はなかったので、他の装置との比較はしませんでしたね。

導入のメリット・効果

定量化と可視化が一緒にできないものだという認識が覆った。多面を視ることが実現できたことは重要。
脊髄性筋萎縮症を血中のバイオマーカーで評価できるという意義はすごく大きい。

- では、実際に使ってみての感想をお聞かせください。
齋藤: 購入後も、色々と相談するときちんと応えてくださって検証も何度もやったから、段々いい結果になっていきましたね。お互いレベルアップしました(笑)。SMNタンパク質の画像解析結果を数値としてデータとして出すことができるようになりました。

- 製品の性能だけでなく、メルクのデモやサポートもお役に立てた、ということで、私たちも嬉しいです。

齋藤: 画像で見えることと、それを数値化するという2つのことができるのは、やはり有意義ですね。
今までは正確に測定するか顕微鏡で見るかのどちらかで、定量化は大抵ELISAでやっているんです。ELISAで定量化するけれど形(細胞)としては全然見えていない。Mark IIのいいところは、形で見えながら数値化できるところ。そういう違い、数字と肉眼が一致する、というのが、この装置の強みですね。

Mark II
イメージングフローサイトメーター ImageStreamX Mark II

- 遺伝子疾患の研究でイメージングフローサイトメーターを使用されたことも大きな意味がある、と。
齋藤: 免疫系研究の人たちは慣れているのでしょうが、私たちの遺伝子疾患研究では、普段使わないんですね。その意味で血液学や免疫学のフィールドの思考が入って融合していい結果が出たんだと思います。あるものを一面からだけでなく、多面で見るという概念にスイッチできたところに大きな意味があるのではないでしょうか。

今回、血球でこれだけきれいに視えたから、どうやって定量しようか、ということも考えて…Mark IIが無ければそこまでいかなかったですね。

- イメージングフローサイトメーターや弊社へのご要望がありましたら教えてください。
齋藤: このような性能の装置を開発されているのだから、今後は試薬やキットなどにも将来性を期待したいですね。
こういう測定ができるという段階から、投薬が効いているかいないか誰が測っても同じ結果が出る客観的判断ができるようになれば治療にも展開できます。SMN測定が、将来的に難病治療から運動機能疾患やスポーツ研究、老化研究など一般・健康分野まで横展開していけばいいと思っています。

先生の取り組んでいらっしゃる難病治療に側面からでもサポートさせていただけていることは嬉しく思います。研究が更に進み、希少難病が治る時代が来ることを私たちも祈っています。
お忙しいところありがとうございました。

製品の詳細は以下のカタログ・資料でご確認ください。
イメージングフローサイトメーター ImageStreamX Mark II カタログ (PDF)
IDEAS ソフトウェアを用いた「細胞の形態変化」や「細胞内イベント」の数値化と細胞集団解析 (PDF)


より具体的な実験内容をまとめたアプリケーションノートを無料でダウンロードできます。
アプリケーションノートご請求フォーム




製品に関するご質問は…


お問合せ先


メルク ライフサイエンス リサーチ&バイオロジー

 

※掲載価格は希望販売価格(税別)です。実際の価格は弊社製品取扱販売店へご確認ください。なお、品目、製品情報、価格等は予告なく変更される場合がございます。予めご了承ください。