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第24回 メルク バイオフォーラム 2025

バイオ医薬品産業における人材育成と課題

わが国において、近年さまざまな産業で人材不足が指摘されています。バイオ医薬品産業も例外ではなく、産業の成長や技術の発展に伴い、創薬・開発から製造にいたるまで幅広い分野で人材育成が大きな課題となっています。

今年で24回目を迎えるメルクのバイオフォーラムではこれらの人材育成に焦点を当て、各分野の第一人者である先生方を演者としてお迎えし、産学それぞれの分野での取組みについてお話しいただきます。

また、パネルディスカッションでは、産学連携、DX推進、グローバル人材の育成など幅広い視点から、講師の皆様、ご参加者の皆様と考えていきます。

バイオ医薬品に限らず、医薬品産業共通の話題として医薬品製造に携わる幅広いお客様に聴講いただける内容をご提供いたします。

バイオロジクスの製造・品質管理に関する人材育成の実践と国際貢献

内田 和久 氏
神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 特命教授・BCRET理事

発表要旨

2000年代のはじめは、抗体医薬の開発・製造が国内で充分に行なえず、また、最近ではCovid-19ウイルスのワクチンの製造が国内で充分にできなかったことは記憶に新しい。これらの反省から、国内で製造設備の充実が喫緊の課題であると産官学ともに認識が一致した。そして、経産・厚労両省の施策が打たれ、CMO・CDMOを含めバイオロジクスの製造設備の充実が図られている。一方、最近は、抗体医薬の多様化をはじめ、ウイルスベクターによる遺伝子治療薬、mRNAワクチンや治療薬、さらには細胞医薬とモダリティが広がり、短期間に次々と実用化され、製薬会社もフォローしきれないCMC領域の技術開発が進む。
このような状況で、そこで働く人材供給も並行して課題となる。広範な課題の解決を個社の企業努力で行うことはすでに困難である。そこでは、自前主義を捨て、CMC技術やGMP製造など共有化が可能な部分を非競争領域として、組織連携して対応する必要性が出てきた。
本演題では、これらの状況を整理し、より求められる人材育成の施策へのイントロダクションとしたい。

プロフィール

東京都立大学理学研究科にてマウスやウシの脳の蛋白質解析の研究に携わり、その後製薬企業において長年バイオ医薬品の開発、製造、品質管理業務の第一線にて活躍。
2015年より神戸大学大学院工学研究科 特命教授に就任し、多くの論文執筆の他、豊富な知識と経験を活かしバイオ医薬品製造に関わる人材育成に本格的に取り組む。
2017年には、産官学の協力によりバイオ人材育成を目的として設立された 一般社団法人バイオロジクス研究・トレーニングセンター(BCRET)理事(兼任)に就任。
BCRET理事として、製薬企業の研究・開発担当者のみでなく、国内外の規制当局担当者向けの研修なども行っている。
また、本フォーラム演者の一人である東京理科大学 櫻井信豪教授などとも連携し、日本の製薬産業の発展に寄与している。

協和キリンにおける人材育成の取り組み

髙藤 修平 氏
協和キリン株式会社 生産本部 高崎工場 人材開発室 室長

発表要旨

協和キリン株式会社は、抗体医薬とバイオテクノロジーに強みを持つスペシャリティファーマです。骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に注力し、海外売上比率は72%とグローバル展開を加速しています。人材育成においては、バイオ医薬品技術者の育成を強化するため、高崎工場に人材開発室を設置し、実習と座学を組み合わせた研修プログラムを体系化しています。2025年には専用トレーニング施設も開設し、製造工程を実機で学べる環境を整備。新人から中堅層まで段階的に育成し、技術継承と現場力強化を図っています。

プロフィール

・2022年 協和キリン株式会社入社 国内製薬会社よりキャリアとして入職
・2022年10月に発足された高崎工場 人材開発室において、階層別教育の体系づくりやナレッジセンター立ち上げに携わる。
・2025年4月より人材開発室長。

中外製薬工業における人材育成の取り組み

磯野 哲也 氏
中外製薬工業株式会社 MSAT バイオ担当 シニアプロフェッショナル

発表要旨

国内におけるバイオ医薬品製造拠点の整備が加速する中、即戦力となるバイオ製造人材の確保や、将来を担う人材育成が重要な課題となっています。BCRETの設立や産学官連携による専門人材育成が進む一方で、教育機関や研修プログラムは依然として限られており、企業でのOJTが中心となっているのが現状です。
中外製薬工業では、技術力・現場力・価値創造力を備えた製造技術者を、自律的かつ主体的な成長意識を持って育成することを目指し、体系的な教育プログラムの構築を進めています。
本講演では、当社における具体的なバイオ製造人材育成の取り組み事例と、今後の人材育成の方向性についてご紹介します。

プロフィール

1997年中外製薬株式会社に入社後、CMC部門にてバイオ原薬製造、プロセス開発、分析法開発、品質管理業務に従事。2021年から中外製薬工業株式会社宇都宮工場長を経て現職に至る

AGCネットワークを活用した人財育成の取り組みと挑戦

高見 潤 氏
AGC株式会社 ライフサイエンスカンパニー バイオロジクス事業本部 日本リージョンヘッド/横浜サイト事業責任者

発表要旨

内閣府のバイオエコノミー戦略に基づく創薬エコシステムやバイオ生産拠点強化などの施策として、国の補助金事業等によるバイオ医薬品の開発機会や生産設備拡充が近年活発化している。
一方、バイオCMC開発人材や生産技術者の獲得・育成に関する課題も急速にクローズアップされており、BCRETが主導する『バイオ医薬品開発・製造の高度生産技術等に関わる人材育成プログラムの開発(AMED研究)』や製薬協加盟会社が主導している『次世代バイオ医薬品等創出に向けた人材育成支援事業(厚労省)』などの取り組みが注目されている。 バイオ医薬品の現場ではプロセス/分析法開発、製造、品質管理、品質保証の各領域、およびエンジニアリング部門や資材調達部門で構成されるが、現状は製薬会社やCDMOの各企業入社後に個社独自の教育プログラムによる育成が一般的であり、上述の取り組みが今後の持続的な仕組みづくりに繋がることが期待される。
本講演では、AGCのバイオ人財の育成について、社内外のネットワークを利用した事例を紹介する。

プロフィール

国内製薬会社勤務を経て、2017年AGC株式会社入社。 微生物事業を展開していたAGCバイオロジクス千葉サイトにおいて、新規に動物細胞設備の立上げに従事。計画策定後、海外サイトとの一体経営に合わせて2019年より日本プロジェクトマネージメントグループリーダーを経て、2021年より千葉サイトヘッド。
横浜における国内バイオ医薬品CDMOの開発・製造能力拡大(2023年12月公表)に向けて建設中のプロジェクトに従事するため、2024年10月より現職。

CMC薬事業務のパラダイム転換と専門人材育成の課題

平澤 竜太郎 氏
第一三共株式会社 テクノロジー本部 CMC薬事部 CMC薬事第三グループ アソシエイトディレクター

発表要旨

規制産業である医薬品業界においては、「規制要件の的確な理解」と「規制当局との効果的・効率的な合意形成」を担う人材は必須であり、規制業務に精通した人材、すなわち薬事エキスパートの育成は、製薬企業における重要課題となっている。近年、バイオ医薬品や遺伝子・細胞治療製品等の高度なCMC管理を要する製品の台頭に伴い、薬事審査においてCMC関連の指摘を受ける事例や、CMC開発の不備に起因する不承認事例が散見されるようになった。また、低分子医薬品と比較して、その傾向が顕著であることも報告されている。このような状況を背景に、CMC領域の薬事業務を担当する「CMC薬事」の専門性に対する注目が高まっている。一方で、CMC薬事人材の育成については、RAPSなどのグローバル専門団体による取り組みはあるものの、国内業界内での体系的な議論は十分とは言えない。
本講演では、バイオ医薬品や遺伝子・細胞治療製品等のCMC領域おける薬事専門人材の育成について、実際の取り組み事例や直面している課題を紹介する。また、開発初期段階からCMC薬事人材が議論に参画することの意義や、進化する規制環境に対応するためのCMC薬事業務の将来像についても考察してみたい。

プロフィール

2007年に博士(理学)取得後、国立遺伝学研究所、フランス国立研究センター、理化学研究所バイオリソースセンターにて、生命科学分野のアカデミア研究を行う。その後、ベンチャー企業勤務を経て、2015年より医薬品医療機器総合機構(PMDA)や日本医療研究開発機構(AMED)において、薬事審査やレギュラトリーサイエンス、創薬技術調査など医薬品行政の業務を経験する。2022年より第一三共株式会社にて、ADC製品、ワクチン製品等の新規承認申請や市販後変更管理に関わるCMC薬事業務に従事するほか、新規製造施設の立ち上げ議論などにも参画する。また、社外活動として、DIA Japan、日本PDA製薬学会、ICHなどへの参画のほか、創薬ベンチャー企業のアドバイザリーや国家資格キャリアコンサルタントとしての活動も行っている。

我が国のGMP人材育成の課題と今後の在り方

櫻井 信豪 氏
東京理科大学 薬学部 社会連携講座 医薬品等品質・GMP講座 教授

発表要旨

医薬品の品質を確保し患者の安全を図るためには、医薬品製造に従事する人材の育成が極めて重要となります。医薬品の需要増加と供給不安、昨今の品質問題事案の発生やワクチンなどの国内製造の強化を考えるとGMP教育はますます必要となっています。当研究室では、日本の医薬品産業を支えるGMP人材の育成とGMP研究を通して高品質な医薬品の流通、革新的生産技術の運用や、適切かつ効率的な品質関連規制の運用に貢献することを目指し活動を行っています。本講演では、現在の我が国における課題と、産官学の連携なども含めた人材育成への取り組みとこれからのあり方について議論します。

プロフィール

1985年 東京理科大学大学院薬学研究科修了(薬剤師)後、製薬企業にて19年間、研究開発、品質管理、品質保証を経験し、生物学的製剤製造管理者、品質管理責任者などを歴任。2004年より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にてGMP等の品質管理業務を担当するほか、数多くのGMP等のガイドラインの作成に携わる。2020年より東京理科大学薬学部にて医薬品等品質・GMP講座 教授としてGMP研究を続けているほか、人材育成を通じて産官学の連携強化や安全な医薬品の流通に尽力している。NPO-QAセンター(医薬品・食品品質保証支援センター)代表理事、医薬品添加剤GMP適合審査会 委員長など、医薬品品質に関わる要職も兼任。

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