ラボに合った純水製造装置の選び方

純水は、ラボで実施されるほとんどの分析において汎用される試薬です。正確で再現性のある結果の取得に注力する必要があるため、すべての純度のニーズを満たす高品質の水を一貫して供給できる純水製造装置をラボに設置することは重要です。正しい水質の選択には特別な注意を払う必要があります。重金属、有機物、塩素、細菌などの汚染物質は分析に影響を及ぼす可能性があるためです。
ラボ用給水システムを選定する際の考慮事項
ラボ用の純水製造装置の選定は、複雑なプロセスのように思われることがあります。ただし、選定を始めるときに時間をかけて状況を徹底的に評価し、いくつかの重要なパラメータを考慮することで、選定は少し簡単になり、最終的な選択に大きな自信を持つことができます。
ラボにおける純水供給のソリューションを選定する際にすべてのラボが考慮すべきパラメータは以下のとおりです。
- 必要な水質
- 総必要量
- モニタリングおよびトレーサビリティ
- サービス要件
- 認定およびコンプライアンス
- サステナビリティ
- 建物およびラボのデザイン
ラボ全体のニーズの調査
ラボで純水が使用されるさまざまな状況と、どの特定の用途に使用されるかを明らかにしましょう。以下を自問してください:
- さまざまな最終目的に対応するために、異なる複数の水質が必要ですか(例、機器への給水と高感度分析)?
- ラボ内の複数の場所に給水装置またはディスペンサーのポイントが必要ですか?
- 1日に必要な水の平均総量はどれくらいですか?
- 需要がピークになる時間にはどのくらいの量の水が必要ですか?
スペースについて考えることも重要です。さまざまな配置が可能で(実験台の下、壁かけなど)、複数の給水場所を設けることができるシステムもあるためです。このような設置オプションは、実験台の上を整理し、より効率的な作業環境をつくることで、ラボのスペースの最適化に役立ちます。
水質のニーズの決定
ラボ用水にはいくつかの種類があることを知っておくことは重要です。水のグレードは規格によって定義されています。これは、特定の用途に正しい種類の水を使用するためだけでなく、コストを考えるためにも役立ちます。タイプ1の超純水はタイプ2またはタイプ3の純水よりも製造コストが高いためです。
このことを念頭に置いて、ラボで純水を使用するさまざまな状況と、どの用途に使用するかを見極めましょう。
- タイプ1の水は、HPLCまたはIC用の移動相の調製、ブランクの調製、HPLC、IC、GC、AA、ICP-MSなどにおける標準品および試料の希釈、哺乳動物細胞培養用の緩衝液および細胞培養液の調製、分子生物学用途の試薬作製、溶液調製(電気泳動およびブロッティング)などの、重要な実験用途に必要です。
- タイプ2の水は、緩衝液や微生物培地の調製、他のラボシステム(タイプ1の給水システム、臨床分析器、食器洗浄機、細胞培養インキュベーターおよび気候試験装置)への給水などの、より一般的な用途で使用されます。
- タイプ3の水は最もグレードの低いラボ用水であり、ガラス器具のすすぎ、ヒーティングバスやオートクレーブ、そしてタイプ1のラボ用給水システムへの給水などにも使用されます。
状況に応じて、水の汚染物質を除去して純水または超純水、あるいはその両方を製造できるシステムを選択する必要があります。1つの技術ですべての汚染物質を除去できるわけではないため、一般的に、純水と超純水の製造には、いくつかの精製技術が組み合わされて使われています(図1および表1)。運用コストを最小限に抑えながら必要な水質を長時間一貫して得られるように、選定過程では、システムで使用されている技術に細心の注意を払いましょう。

図1.純水・超純水製造装置の流れ図
必要な総水量の評価
純水の使用ポイントと用途のリストに基づき、それぞれの水の種類ごとに、1日に必要なおおよその量を計算してください。これにより、推奨される装置について純水製造装置のベンダーと話し合うために必要な基本的な情報が得られます。見積もりでは、多量の水が必要になる可能性がある日を想定することを忘れないでください。
モニタリングとトレーサビリティの重要性の理解
ラボの超純水・純水製造装置が、水質ニーズの規格を継続的に満たしているかどうかを知ることは非常に重要です。このためには一般的に、水のイオン純度を測定する抵抗率モニター(値が18.2 MΩ*cmであれば、製造された水はイオンを含まない)や、水中に存在する有機物質の総量を示す全酸化性炭素(TOC)メーターなどのモニタリングツールが使用されます。用途によっては、抵抗率とTOCの両方の値が必要なことがあるため、純水製造装置の選定ではこれらの基準を考慮しなければなりません。
水質を追跡し記録できることも重要です。規制環境下で作業するラボでは特に重要です。現在では、ソフトウェアとウェブベースのソリューションにより、強化されたデータ管理制御、システム・ダッシュボードへのリモート・アクセス、長期的な電子アーカイブを行うことができます。
最新の純水製造装置には、デジタルタッチスクリーンを備えており、簡単に水質監視ができシステム操作がより直感的に行えるものもあります。さらに新しい一部のシステムは、リモートでモニタリングや制御ができ、オフサイトでのラボの生産性をさらに保証できます。
ユーザーエクスペリエンスとサービス
ラボにいる全員の時間を節約して効率を上げるために、直感的なインターフェイスを備えた使いやすいシステムを探しましょう。また、カートリッジは誰でも簡単に交換できるようにしましょう。定期的な予防メンテナンスによってシステムを良好な状態に保つことで、機器の寿命を通して最適な動作が保証されます。ベンダーに問い合わせて、お客様のニーズを満たす専門的なサービス組織があるかどうか確認して下さい。一部の純水製造装置のサプライヤーは、システムの稼働時間とラボの生産性を最適化するために、リモートでのシステム監視と合理化された消耗品の交換も行っています。
認定とコンプライアンスの検討
システム選定の一環として、品質保証に関する側面についても検討したいかもしれません。ISO 9001およびISO 14001に登録された製造施設で製造され、適合性、品質、較正を証明する証明書を含めた必要な品質文書が一緒に提供されるシステムを探しましょう。これは品質管理システムの要件を満たすために役立ちます。高品質で安定したシステムに投資すれば、確実に長期間にわたって持続的に機能し、良好な価値が得られます。
また、純水製造装置は、装置の寿命がくるまでずっと、効率と安全性を規定する規制に従う必要があることを覚えておいてください。CE、UL、FCCの認定を受けた装置を探しましょう。
純水製造装置で製造されるラボ用水は、特定の用途に要求される水質を定義する基準にも従う必要があります。例えば、ラボ用のASTM®およびISO 3696、臨床検査用の米国臨床検査標準協議会(CLSI®)ガイドライン、または薬局方団体によって提供される基準などです。ラボで使用する水がこれらの組織の基準に準拠している必要がある場合は、この点も必ず確認してください。
サステナビリティに向けた取り組み
ラボ用純水製造装置の運用により、環境にある程度の影響があることは確かです。しかし、製造業者によるサステナブルな解決策の開発は大きく進歩しています。そしてれらの変化を反映し、現在市販されている給水システムは、飲料水、電気、水銀および強力な化学物質の使用量が減少し、長寿命の精製カートリッジが利用できるようになっています。プラスチックの使用を削減するために、カートリッジが小さくなり、よりコンパクトになっているシステムもあります。また、過剰な包装は削減され、文書は通常、印刷された書類ではなく電子ファイルとして提供されています。これまでに述べたポイントに加えて、ベンダーのシステムが欧州有害物質使用制限(RoHS)指令および電気電子廃棄物(WEEE)指令に準拠していることも確認してください。
定期的な予防保守によってシステムを良好な状態に保つことも、サステナビリティを高め、機器の寿命を通して最適な動作を確保するためのもう一つの方法です。ベンダーに問い合わせて、お客様のニーズを満たす専門的なサービス組織があるかどうか確認して下さい。
忘れてはならないデザイン
さて、ここまでで、純水と超純水が必要な場所と時期、用途、量と頻度を決定しました。実際のラボのデザインには、この情報と、ラボの純水製造装置のベンダーと話し合う必要があるその他の重要な基準を取り入れます。
大規模なラボでは、ループを通して純水を分配したり、量や水の純度のニーズに応じて階ごとに設置したりするソリューションを選択する場合がある一方、小規模なラボでは、要求に応じて純水や超純水を提供する個別のシステムの使用を選択することがあります。完全なシステム管理と完全なトレーサビリティが必要な規制要件下の環境では、準拠したデータ記録ソフトウェアを使用した複数のポイントオブユースシステムを設置する必要性によって、ラボの構成が決まることもあります。
最後に、ビル/設備管理のメンバーや購買部門など、他のステークホルダーが決定に関与する必要があることを忘れてはなりません。いくつかの基準を考慮して、純水製造装置のベンダーとの議論を進め、解決策を選択する必要があります。
ラボ用の給水システムを選定する際にラボ用水専門家からのサポートが必要な場合は、お問い合わせください。
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