環境分析での有害元素評価に用いる超純水
有害元素分析のための水質要件
環境分析で有害元素の存在を測定するために使用される試薬水の品質は、結果の信頼性と精度にとって極めて重要です。本研究では、Milli-Q®超純水製造装置で精製直後の超純水が、環境試験所でのICP-OESおよびICP-MS微量元素分析に適することを確認します。
過去数十年の間に分析装置の感度は大きく向上して、環境汚染とBe、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、As、Cd、Sb、Ba、Hg、Tl、Pbなどの金属の有害効果に対する理解は変化しました。その結果、飲料水、1海洋水、2廃水3中の有毒金属の最大許容濃度または推奨濃度を確立するための多数の規制とガイドラインが作成されました。こうして当局が制定した要件のために、分光分析を微量元素決定のための標準推奨装置とする環境試験所では有害金属のモニタリングに対するニーズが増しています。4,5水や土壌の環境分析における微量の有害金属元素の検出では、ICP-MSとICP-OESが最もよく使用されるため、ICP-MSとICP-OES分析で最も頻繁に使用される試薬である超純水に対する品質要件も高まっています。とりわけ、超純水は試薬のブランクとして、サンプルと標準の調製に、また装置とサンプル容器の洗浄に用いられます(図1)。したがって、測定の正確さと精度を確保するためには、超純水には金属が含まれないようにして分析装置を汚染から保護し、分析元素との干渉を避ける必要があります。

図1.ICP-MSとICP-OES分析での超純水のさまざまな使用方法
ICP-OESおよびICP-MS分析に最適な水質
現代のICP-OES、ICP-MS装置を十分活用するには、高品質の超純水が必要です。ラボで使用する試薬から何らかの汚染を受けるとバックグラウンド相当濃度(BEC)と検出限界(LOD)が増大し、この技術の性能低下につながります。したがって、ICP-MSまたはICP-OES分析のあらゆる段階で使用する試薬水の適合性は、測定対象の元素がブランクで検出されてはならないという一般的なルールにより規定されます。検出される場合は、そのBECが目的の分析範囲に比べて無視しうるものでなければなりません。環境分析においては、水サンプル中の元素は通常µg/L(ppb)分析範囲6で分析され、土壌サンプル中の元素はmg/L(ppm)分析範囲7で分析されます。実験をppb-ppmの分析範囲で行うには、対象元素のBEC値がpptまたはそれ以下の範囲を超えないことが望まれます。また、一部の分析ではLOD(検出限界)が個別に規定されているため、1汚染のレベルが無視しうる程度であることに加えて、一貫した品質の超純水を使用することが極めて重要です。
元素分析に対するMilli-Q®超純水の適合性
ICP-MSおよびICP-OES環境分析に必要な試薬水の適合性を評価するために、Milli-Q®超純水製造装置から精製した直後の超純水に含まれる毒性元素の存在を測定しました。表1に結果として得られた試薬水のBECとng/Lレベルの検出限界を示します。結果から、Milli-Q®超純水を使用して分析した多くの元素のBECレベルは、ppt未満または低いpptの範囲であることがわかります(実験はクリーンルームではなく、通常のラボ条件で行いました)。これよりも大幅に低い元素レベルを達成する必要がある場合は、分析をクリーンルームまたは金属フリーのラボ環境で行い8、さらにppt未満およびppqのレベルのBECが得られるMilli-Q® IQ Elementなどのポリッシングステップを追加するとよいでしょう。9
ICP-MS実験条件
超純水を得るために、水道水を2ステップで精製しました。
- 純水を水道水から得るために、逆浸透、Elix®連続イオン交換(EDI)、および殺菌UVランプを組み合わせた、Milli-Q® IX純水製造装置と同じようなMilli-Q®超純水製造装置を使用しました。
- 超純水を得るために、Millipak™最終フィルター搭載Milli-Q® IQ 7000超純水製造装置と同じようなMilli-Q®超純水製造装置により、上記の純水をさらに精製しました。ただし、Hgの分析に用いる超純水を得る場合には、Elix® EDIモジュールを含まないMilli-Q® Direct装置を使用しました。
超純水サンプルを、Be、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、As、Cd、Sb、Ba、Tl、PbについてはAgilent® 7700s ICP-MS装置、ZnとHgについてはAgilent® 7500s ICP-MS装置を使用して分析しました。すべての実験は(クリーンルームではなく)通常のラボ条件で行われました。
Agilent® 7700s装置の詳細とパラメーター:PFA(ペルフルオロアルコキシ)-50噴霧器、PFAスプレー室、サファイア不活性トーチ、石英内径2.5 mmトーチインジェクター、プラチナサンプルおよびスキマーコーン、RF電力600/1600 W、サンプリング位置12/8 mm、キャリアガス流0.90 L/分、メイクアップガス流0.32/0.51 L/分、自動検出モード、較正1、5、10、50 ng/L。
Agilent®7500s装置の詳細とパラメーター:石英噴霧器、石英スプレー室、石英内径2.5 mmトーチインジェクター、ニッケルサンプルおよびスキマーコーン、RF電力1300/1550 W、サンプリング位置8 mm、キャリアガス流0.96 L/分、メイクアップガス流0.23 L/分、自動検出モード、較正1、20、50、100 ng/L。
容器はすべてPFAで超純水で事前洗浄しました。Milli-Q®超純水製造装置から得られたすべての超純水サンプル(比抵抗値18.2 MΩ·cmおよびTOC 5 ppb未満)を採水直後に分析しました。
環境分析に対するMilli-Q®超純水の信頼性
環境サンプル中の有毒元素分析における試薬水質の重要性について考察し、Milli-Q®超純水製造装置で精製した超純水中の元素が低レベルであることを確認しました。微量元素分析を行う研究室では、繊細なアプリケーションのための極めて高純度の水に対する厳しい要件を満たすために、Milli-Q®超純水製造装置を利用することができます。Milli-Q®超純水製造装置から得られる水を微量元素分析に選択することにより、質の高い正確なデータを確実に生成できます。
元素分析を行う科学者のニーズにお応えする、さまざまな純水製造ソリューションをご利用いただけます。
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参考文献
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